top of page

桐世織

​    伝統的な佐賀錦織を基に、独自の材料と色使いで織り上げた、現代感覚溢れる織物ーそれが桐世織です。基になった佐賀錦は、1800年頃に九州鍋島藩の藩主夫人によって創案され、江戸時代は門外不出の技術でした。明治時代に入り、上流階級の婦人たちの間で趣味として広がりました。創案当初は和紙の紙縒りだけで織られていたものの、時代と共に縦糸には金や銀、漆を箔押しした和紙を細かく切ったものを、横糸には絹糸が使われるようになりました。西陣織に代表される錦織は箔押しした和紙を横に使っていますが、佐賀錦はこれを縦に使っています。これは佐賀錦独特の手法です。

104 Photo of Loom.jpg

​    このような従来の織物に新しい命を吹き込んで完成したのが桐世織です。漆をかけた和紙にプラチナ、金の箔を貼り細かく裁断したものを縦糸として使用し、横糸には本金、プラチナ糸、漆糸を用いています。この箔紙と糸が織りなす芸術は、光の方向によって輝きを増し表情を変え、毅然とした趣があります。

    デザインや色彩もまた元来の佐賀錦からは跳躍したもので、作品からはアールデコ、イスラムや中世ヨーロッパのモチーフ、日本の石庭など多種の文化からの影響を受け、メタリックで現代的な作品が多くみられます。

    織物に使用される織台は大変素朴で原始的なもので、テーブルに置いて使える大きさです。織台がシンプルな分、作品は織り手の腕にかかっています。集中力と精密さを必要とし、一日かけてもほんの2~3センチ織るのがやっとです。ただ、その材料となる漆糸が職人たちの高齢化や後継者不足のため、入手困難になりました。大変な手間と時間がかかるため、出来上がった作品に情が移ってしまい、それらの殆どは人手にわたることなく作者の手元にあります。そして、桐世織は後継者が非常に少ないため、作者一代で終わることにならないことを願っています。

​    現在、桐世織は海外の展覧会でも評価を得て、ニューヨークメトロポリタン美術館やヒラリー・クリントン氏を通じてホワイトハウスにも収蔵されています。

bottom of page